【中年クライシス】
「中年クライシス」という言葉を聞いたこと、ありますか?
クライシス(crisis)は危機という意味ですので「中年の危機」という意味です。
これは、臨床心理学者の河合隼雄先生の著書のタイトルであり、本の内容を示しています。
中年期というのは、人の人生のなかで青年期を抜けた頃から、年齢を重ねて老年となるまでの間を言います。
これまで中年期は、人生でもっとも充実した時期で、仕事をがんばったり、子育てに没頭したりして、比較的安定している時期だと言われてきました。
しかし、実際のところ中年期は、外からみると(世間的には)安定して見えても、本人も気づかないようなところで、突然、崖に転落するような危うさをはらんだ時期だと、河合先生は述べています。
たとえば、交通事故。まさかこんなところで、というタイミングや場所で事故に遭うことがあります。
今まで元気で自分の体力に自身があり、体調管理などに興味も関心もなく、馬車馬のように働いていた人が、いきなり大病を得ることなどが、それに当たるかもしれません。
もちろん、すべての事故や病気を中年クライシスと捉える、ということではありません。
対人関係では、ちょっとしたことから、異性関係が不倫や三角関係に陥ることも、「クライシス」に当たるかもしれません。
子どもの問題として現れることもあります。不登校やひきこもり非行、家庭内暴力など。子どもの問題というより、家族の病理、つまり中年に差し掛かった親世代の問題として考えた方がピッタリ来ることがあるように思います。
決して他人事ではなく、このブログを書いている私自身、中年期を生きています。
中年期は人生後半にさしかかる時期。体力の衰えを感じたり、仕事が頭打ちになったり。若い頃のように右肩上がりの成長志向や体力勝負だけでは、やっていけなくなります。考え方ややり方を変えるなど、シフトチェンジが求められる時期でもあります。
河合隼雄先生の著書『中年クライシス』では、日本の文学を題材に、中年期の心のありようを見事に描き出して解説する、河合先生らしい本です。
この本を購入したのは、私がまだ28歳のころ。当時は中年の心理なんてまったく分かりませんでしたが、今読むととても味わい深いです。
40代、50代、60代で子育て一段落した女性や、働き盛りでがんばっている方、「人生後半」を考えている方に、
お勧めの本です。