遊戯療法とは、一言でいうと「子どものカウンセリング」です。英語ではプレイセラピーといいます。遊びを用いて心の問題を解決する、心理療法の一技法です。カウンセラーは、子どもが遊ぶ様子から心理的な課題や困難を読み取り、遊ぶことを通して問題を解決していくのをお手伝いします。
遊戯療法はプレイルームで行われます。プレイルームには、さまざまな玩具が用意されていて、自由に遊ぶことができます。当相談室にも小さなプレイルームを設置しています。描画用具や積木、人形遊び、ボードゲームなどがあり、自由に触れて遊ぶことができます。箱庭療法の用具もあります。
基本的にカウンセラーと1対1で個別セッションを持ちます。時間はたいてい45分間です。
2 遊戯療法で子どもの心理的な問題が改善されるのですか?
どうして遊戯療法を行うことで、子どもの心の悩みや苦しみ、問題が改善するのでしょうか。子どものことをお話しする前に、まずは大人について考えてみましょう。大人の場合は、心理的な悩みや苦しみをカウンセリングの場面で話し、カウンセラーと話し合いながら問題解決を目指します。大人のカウンセリングは、主に言葉を使って心の課題や問題を解決していくのですね。
子どもの場合はどうでしょう。年齢にもよりますが、少なくとも幼児期から小学生くらいまでは、言語的・心理的に発達途上にあるために、自分の悩みを自分で理解することも言葉で表すことも難しいとされています。しかし、人間は赤ちゃんの頃から、遊びながら心や体を成長させています。大人からみると遊び道具には見えないようなものを使って、うまく遊んでいます。このように、子どもは言葉で心の苦しみを表現する代わりに、遊びのなかで自分の気持ちやしんどさを表現すると考えられています。
カウンセラーは、遊びを介して子どもの心の内を表現することを促しつつ、子ども自身が心理的な問題を解決できるように関わっていきます。遊びに込められた心理的な意味を理解し、必要に応じて子どもの気持ちを大人に翻訳して伝えることもあります。
3 遊戯療法はどのような心理的問題に対して有効ですか
たとえば、このような症状がみられるときに、遊戯療法が有効とされています。
✔ 不登校・学校にいきたがらない
✔ 腹痛・頭痛を訴えるが、特に悪いところはない
✔ 友だちとうまく遊べない。友だちがいない
✔ 気持ちを上手く表現できず、かんしゃくやパニックを起こす
✔ 発達の偏りやばらつきがあると言われている
✔ 夜中に突然起きて泣き出だす
いかがでしょう。遊戯療法の対応範囲が相当広いことがお分かりになると思います。
4 遊戯療法に関するQ&A
ここで遊戯療法に関するよくある質問を載せておきます。遊戯療法を受ける際の参考にしていただけたら幸いです。
2歳以前は母子(主たる養育者)関係の調整をすることで症状や問題が改善することが多いというのが理由です。もちろん2歳以前でも実施することは可能です。
小学校の高学年になると、玩具で遊ぶことが幼く感じることがあります。その場合はお話しをするスタイルに徐々に移行します。当相談室では、中学生でも幼稚さを感じずに過ごせるように部屋を整えています。
遊戯療法について、お分かり頂けたでしょうか。何かご質問等ありましたら、遠慮なくおたずねください。