はじめに
子育てをしていると、「これでいいのかな」「こんな言い方でいいのだろか」「またやってしまった。本当はこんな叱り方をしたくなかったのに」と、迷いが生じたり、反省が過ぎて自己嫌悪に陥ったりすることがあると思います。
もちろん、子育てに唯一絶対の正解というものはありません。個性のある1人の親と子どもの組み合わせは無限ですから。ひと組みの親子にとっての最適解は、他の親子と異なるのは当然です。
一方で、人間の赤ちゃんが生まれ、よちよち歩きをして、言葉を少しずつ話し、やがて友だちの輪の中に入り、小さな社会のなかで人間関係を広げていくという、人としての成長の道筋は、古今東西変わりません。
このコーナーは、子育てをする上で、どの子どもにも当てはまる、発達の基本的な流れと、発達段階に応じた大人の関わりについて、考えていきたいと思います。
まずは、子育てでもっとも大切とされる4つのポイントをみていきましょう。
1.子どもの成長には親との関係が何よりも大切
人間の赤ちゃんが育つには、親などの養育者による献身的なお世話が不可欠です。赤ちゃんは一人では食事を取ることも、トイレに行くことも、体を清潔に保つこともできません。親から丁寧で温かいお世話を受けるように、他の哺乳類と比べて、とても未熟な状態で生まれています。
そして、親がかいがいしくお世話をする際に、親子でのコミュニケーションが育まれ、同時に赤ちゃんの心も育てられているのです。人間の赤ちゃんが育つ環境においては、何よりも親との関係性が大切なのです。
2.子どもの愛情タンクをいっぱいにするイメージで
子育てで一番大切なことは何でしょう。きっと多くの人が愛情を与えること、と答えると思います。子どもの心は、生まれた時は、新品でまっさらなタンクのようなものです。そのタンクを愛情で満タンにしていく。そんなイメージをもてるといいですね。
「それは分かっています。でも上手くいかないんですよね…」という声が聞こえてきそうです。親は、自分なりの方法で愛情をかけているのに、子どもにうまく伝わらなくてもどかしい。でも子どもの側からすると、親の言葉や態度を、愛情として受け取れないことがあるのです。親が与える愛情という鍵の形と、子どもが受け取れる鍵穴の形が異なっているイメージです。
なので、子どもが「これはお母さん(お父さん)の愛だ!」「自分は大切にされている」と感じられるように、親の側が学び、子どもに合わせて対応を工夫する必要があります。
3.子どもは大人のミニチュアではありません
子どもの振るまいや言葉づかいが大人と違うことは、何となくは分かります。けれども、子どもの目から見た世界や子どもならではの感じ方を、大人はすっかり忘れていて、子どもの言動を理解しにくくなっています。
大人には理解しにくい子どもの振る舞いや態度の原因は、実は脳の未発達にあると言われています。
「どうしてこんなこともできないの!」「さっき言ったのに!」など、大人は大人の目線や基準を、子どもに押しつけてしまうことがしばしばあります。でも、子どもにとっては、自分の能力をはるかに超えた要求であることが多いのです。
子育てしながらイライラする時、子どもの示す態度は、もうこれ以上処理しきれない!、というギブアップのサインなのかもしれません。
4.子どもの成長は、らせん階段
子どもの成長は、右肩上がりには進みません。できることがどんどん増えているなと思うときもあれば、少し前の段階に戻ってしまうことも。大人っぽくなったと思う時もあれば、子どもっぽくなったと感じる時もあるでしょう。
はいはいから立ち上がり、次は走って・・ともっともっと成長して欲しいと親は願うもの。けれども子どもにとって親からの期待はプレッシャーになることも。成長の軌跡はゆっくりです。らせん階段の様に、同じところをぐるぐる回っている様に見えても、確実に高いところに上がっている。そんなイメージで子どもの成長を見守って行けるといいですね。
<参考文献>
・『子どもの気持ちがわかる本 1〜5歳ー子どももママもハッピーになる子育てー』イザベル・フィリオザ著/土井佳代子訳 かんき出版